昇進を早くスムーズに進めるためには、どのように行動すればよいのでしょうか。マネックスグループ取締役であり、AI研究者、さらに小説家でもある山田尚史さんは「優れたマネージャーや強い責任感を持つリーダーは、社内面談で『最近困ったことはありますか？』と尋ねたときの回答が違う」と述べています。

スペシャリストとジェネラリスト、どちらを目指すべきか？

人事評価や採用面談、またはメンターとしてのキャリア相談でよく取り上げられる悩みの一つが、エンジニアとして「スペシャリスト」を目指すか、「ジェネラリスト」を目指すかという問題です。これを言い換えれば、専門的な技術を究めるべきか、マネジメント職に進むべきかという選択の葛藤に関わります。

エンジニアにとって、技術に対する誇りが大きく、自分のスキルを他者に評価されることに抵抗を感じることが多いのは事実です。しかし、キャリアが進むにつれ、エンジニアの中でマネージャーに転身するのは、まるで異業種に転職するような感覚を抱くことが少なくありません。マネジメントも特別な技術を要し、特にエンジニアとしての経験が強く影響を与えるコミュニケーション面での挑戦があります。

スペシャリストを目指す道の難しさ

多くのエンジニアが「スペシャリスト」としての道を選ぶ傾向にありますが、それもまた容易な道ではありません。その最大の理由は、技術の進化が非常に速く、現在重要とされる技術が数年後には過去のものになってしまう可能性が高いためです。例えば、かつて需要のあったサーバー技術者が今ではクラウドや仮想化技術に取って代わられ、その分野でのスペシャリストの数は限られてきています。

マネージャーの道の魅力

一方、ジェネラリスト、特にマネージャー職は食いっぱぐれないキャリアだと言えます。確かにマネージャーの役割は限られた人数しか必要とされないように感じられるかもしれませんが、エンジニアの数が増える中で、優れたマネージャーは常に不足しており、どの会社でも貴重な存在となります。

また、マネージャーになることは、単にリーダーシップを発揮するだけでなく、プロジェクトマネージャーやプロダクトマネージャーといった役職も視野に入れるべきです。これらのキャリアは、エンジニアとしての経験を活かしつつ、ビジネスや社会に大きな影響を与える可能性を秘めています。

ジェネラリストの有利な点

実際、スペシャリストに集中することが有効な場合もありますが、ビジネスや研究の世界では、幅広い知識を持つジェネラリストの方が、より大きな成果を上げる可能性が高いと言われています。特に、技術に依存しない仕事をする場面では、専門性よりも多角的な視野が重要です。AIや新技術が進化する中で、「何を作るか」という視点を持つプロダクトマネージャーの重要性は今後さらに増していくでしょう。

昇進のための実践的なアドバイス

昇進を目指すためには、まずは「主語をWeにして考える」ことが重要です。社内面談などで「最近困ったことはありますか？」という質問に対して、優れたリーダーは必ず「チームが困ったこと」を話します。自分の問題だけでなく、チーム全体の問題に目を向け、解決策を模索する姿勢が重要です。このように考え、行動することで、チームの信頼を得ることができ、結果的に昇進が早まります。

まとめ

結論として、どちらを目指すべきかは一概に言えませんが、どんなキャリアを選ぶにせよ、幅広い視野を持ち、チームの成果を最優先に考えることが成功の鍵です。自分の強みを活かしながらも、柔軟に可能性を広げることで、より大きな成果を上げ、昇進への道を切り開くことができるでしょう。