9兆円もの税金を課されているユーザー
政府は自らの権力の維持・拡大のために動くのであって、国民全体のことなど考えない――。国政に係る「不都合な真実」である。 【画像】「えぇぇぇぇ!?」 これが複雑怪奇な「自動車関係諸税」です! 画像で見る(11枚) 財務省は、国民が経済的に苦しもうが知ったことではないとばかりに増税路線を貫いている。故・森永卓郎氏はこの状況を 「ザイム真理教」 と評した。徴税する側の都合を有無を言わさず国民に押し付けて恥じない。税金にはそうした側面がある。タバコ、酒などと並んで自動車産業もまた、財務省(及び地方自治体に財源を回したい総務省)に狙い撃ちされている。 自動車ユーザーは、9種類、9兆円もの税金を課されている。 ●自動車重量税 自動車の重量に応じて課される税金。新車購入時および車検時に支払う必要があり、重い車ほど税額が高くなる。道路の維持管理費用を補う目的がある。 ●自動車税 自動車の所有者に対して毎年課される税金。排気量に応じて税額が異なり、排気量が大きいほど税金も高くなる。都道府県税に分類される。 ●軽自動車税 軽自動車の所有者に対して毎年課される税金。普通自動車税よりも税額が低く、排気量660cc以下の軽自動車や二輪車(バイク)が対象。市町村税に分類される。 ●自動車税・軽自動車税環境性能割 新車購入時に、燃費性能など環境負荷の少なさに応じて課される税金。燃費性能が優れている車ほど税額が軽減され、電気自動車やハイブリッド車などは免税や減税措置を受ける場合がある。消費税増税にともない「取得税」に代わって導入された。 ●揮発油税 ガソリンに対して課される税金。1Lあたり一定額が課税されており、道路整備や交通インフラの維持費用などに充てられる。いわゆる「ガソリン税」の一部。 ●地方揮発油税 揮発油税と同様にガソリンに課される税金だが、こちらは地方自治体の財源となるもの。国が徴収し、地方自治体に配分される仕組み。 ●軽油引取税 ディーゼル車向けの軽油に課される税金。ガソリン税(揮発油税)の軽油版ともいえ、1Lあたり一定額が課税される。都道府県税として徴収され、道路整備や交通関連の財源となる。 ●消費税 自動車の購入時や修理、整備、車検費用などに対して課される税金。現在の税率は10%で、自動車本体価格だけでなく、オプションや手数料などにも課税される。 の九つである。自動車税、軽自動車税と、自動車税・軽自動車税環境性能割が2回出てきたりするなど、非常に複雑怪奇な税制となっている。徴税側や業界関係者以外訳がわからない税制といっていい。 財務省・総務省は、この複雑怪奇な税制を維持しようとするばかりか、あわよくばここにさらに 「環境自動車税(走行距離課税)」 をも加えようと企んでいる。消費税をカウントするのはおかしいという議論が財務省系にはあるようだが、ガソリン税をはじめ、本体価格だけでなく(ガソリン等の)税金をかけた金額に消費税を課税するという 「不当な二重課税」 を行っている以上、消費税も考慮されるべきである。 自動車にかかる税金は乗用車に限らず、宅配便や郵便局、トラックなど物流に欠かせない車両にも当然課されている。そして、地方では公共交通が衰退し、クルマによる移動に依存している現状がある。つまり、自動車関係諸税の問題は国内経済、特に 「地方経済」 に直結する問題なのだ。
意味不明な暫定税率が維持された理由
国民民主党や立憲民主党は、ガソリン税(揮発油税 + 地方揮発油税)の「暫定税率」を廃止しようと動いている。 暫定税率という言葉自体耳慣れない用語であり、説明が必要だろう。1953(昭和28)年、田中角栄らを中心に、全国に道路を整備するために「道路特定財源」が法整備された。要するに道路をつくることを目的とした税金である。 ・ガソリン税 ・石油ガス税 ・軽油取引税 ・自動車重量税 ・自動車取得税 がこれにあたる。この道路特定財源は、全国にある程度道路網を敷き終わったということで、小泉政権のころに廃止方針が打ち出され、2009(平成21)年に廃止、一般財源化された。これにより、道路特定財源時代の諸税は 「課税根拠」 を失ったわけである。また、1973~1977年の道路整備五カ年計画における財源不足に対応するために、「2年間の暫定措置」として揮発油税、地方道路税、自動車取得税、自動車重量税の増税がなぜか恒久化され、課税根拠のない現在ですら維持されているのである。これを徴税側のご都合主義といわずして何というのだろうか。 さらにいえば、上記道路特定財源のうち、自動車取得税は業界の強い要望により廃止されたが、同時に自動車税・軽自動車税に、取得時に「環境性能割」なる税金が賦課されることとなった。つまりは付け替えである。もともと課税根拠がないにもかかわらず、廃止せざるを得なくなると別の税金を課して付け替える。 「財務省の横暴」 である。
財務省側に立つ自民党
自民党の宮沢洋一税調会長は、ガソリン税に上乗せされている暫定税率の廃止に関し、「諸課題の解決策や具体的な実施方法などについて、引き続き協議を進める」と伝え、廃止時期を明示しなかった。 さきほどから述べているとおり、暫定税率の問題はガソリン税だけではなく自動車関連諸税全般に及ぶべきものだが、そのガソリン税の暫定税率すら廃止しようとしないのが自民党である。 国民民主党は、政策として、自動車関係諸税について 「自動車重量税は廃止することを前提に、まずは『当分の間税率』を廃止し、自動車重量税の国分の本則税率の地方税化を進めます。環境性能割は、旧自動車取得税の付け替えであることから廃止します。自動車税は、新車・既販車に関係なく、現在の営業・貨物・軽自動車の負担水準を基準とした税体系に改革します。ただし軽自動車が地方の重要な交通手段となっている現状に鑑み、十分な配慮のうえで検討を行います。ガソリンや軽油の本則税率に約50年間も上乗せされている「当分の間税率」を廃止し、国分の本則税率の地方税化を進めます。また、消費税との二重課税問題を解消します。自動車が生活必需品となっている地方のユーザーに大きな負担増となる、走行距離課税は導入しません。また、電動車普及の足かせとなるEV、FCVに対する税収確保ありきの増税は行わず、カーボン・ニュートラル実現に向け、電動車普及促進を継続的に実施します」 とうたっている。国民民主党の支持母体である労働組合のなかには、 「自動車総連(全日本自動車産業労働組合総連合会)」 が含まれており、いかにも業界を知る人間による政策論が展開されている。一方で日本自動車工業会をはじめとする事業者団体は昔から与党と関係が深く、自民党の政治資金団体である国民政治協会の収支報告書によると、同協会への献金額が大きい業界団体の3位には日本自動車工業会の名前がある。 にもかかわらず自民党の政権公約には自動車関係諸税の見直しに関する言及はない。財務省に寄り添う自民党では、地方経済はますます衰退し、地方の自動車ユーザーには引き続き重税が課されることになるだろう。
地方経済の衰退リスク
自動車産業は、製造品出荷額で主要産業の約2割を占め、関連就業人口が550万人にも及ぶ日本の基幹産業であり、生産・販売拠点の多くが地方に存在する。 自動車産業がこれ以上衰退すれば、メーカーが海外生産に切り替える恐れも否定できない。そうなれば、地方経済はますます衰退する。 課税根拠を喪失している自動車税制を維持し、税額の計算のみ考え代替財源を求める「ザイム真理教」による一番の被害者は、地方に住む国民なのである。
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