日本のキャッシュレス決済率がついに4割を突破した。経済産業省によれば、2024年の比率は42.8%。わずか7年で2倍以上に増え、政府目標も前倒しで達成された。だが、便利なはずのキャッシュレスが、実は「お金が貯まらない人」を増やす原因になっているという指摘がある。
なぜここまで進んだのか?政府とコロナの後押し
キャッシュレス化の背景には、政府の大規模なポイント還元策や、コロナ禍での非接触ニーズがある。2019年のキャッシュレス・ポイント還元事業、2020年のマイナポイント制度は、多くの人にキャッシュレスの魅力を伝えた。加えて、外出自粛やモバイルオーダーの浸透で「財布を開かない生活」が定着した。
「キャッシュレス=無駄遣い」説は本当だった?
キャッシュレスは便利な一方で、消費への歯止めが効きにくくなる。現金ならば減りゆく紙幣に心理的なブレーキがかかるが、キャッシュレスは「数字」が減るだけ。そのため「お得だから」といって、必要ない買い物も増えてしまいがちだ。
意外にもキャッシュレス派の方が節約志向?
ビザ・ワールドワイド・ジャパンの調査では、節約意識が高いのは意外にもキャッシュレス派。ポイントやクーポンを活用する「賢い消費」が特徴で、現金派の「買わない」節約とは手法が異なる。だが、見せかけの節約で「ついで消費」が増える危険性もある。
「見える化」で浪費を防げ
キャッシュレスは家計簿アプリと連動させることで、消費の可視化が可能になる。月々の予算や支出の傾向を把握すれば、無駄遣いの発見にもつながる。とくに「なぜかお金が残らない」人には、キャッシュレス×アプリの組み合わせが有効だ。
現金派が有利な場面もある
ただし、赤字家計の人や金銭管理が苦手な人には、現金管理の方が効果的。お札の「実物」を見ることで、消費へのブレーキがかかりやすい。特に新社会人など金銭感覚がまだ育っていない層には、最初は現金で生活費を振り分けてみるのが良い練習になる。
キャッシュレスの落とし穴は「複雑さ」
クレジットカード、コード決済、電子マネーなど複数の支払い手段を使うと、かえってお金の流れが把握しにくくなる。後払い・前払い・即時払いの違いもあり、混乱しやすい。キャッシュレスは「お金を使わせる仕組み」であることを理解し、管理意識を強く持つ必要がある。
「使わせる」ことが目的の仕組みに注意を
政府の次なる目標はキャッシュレス比率80%。ポイント還元やクーポン配布が続く限り、「使った方が得」な心理が働くが、それは裏を返せば「たくさん使ってもらうための仕掛け」。本当に必要な消費かどうかを見極め、支出にブレーキをかける感覚を忘れないことが重要だ。
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