年齢を重ねると、「肩が上がらない」「腕を動かすと痛い」といった悩みを抱える人は少なくありません。肩関節は可動範囲が広く、日常生活で多くの動作に関わるため、痛みや動かしにくさは生活の質に大きく影響します。では、五十肩や四十肩とは具体的にどのような状態なのでしょうか。うなやま整形外科の宇南山賢二先生に話を伺いました。
五十肩は正式な疾患名ではなく、肩の痛みや運動制限を伴う中高年によく見られる症状の総称です。医学的には「肩関節周囲炎」と呼ばれることが多く、四十肩と五十肩に大きな違いはなく、ほぼ同じ病態と考えられています。症状としては、最初は肩を動かしたときに痛みを感じる程度ですが、進行すると安静時にも痛みが出るようになり、着替えや日常動作にも支障が出てきます。
症状は数か月から数年続くことがありますが、自然に改善する場合もあります。しかし、痛みが強く動かしにくい場合は、早めの治療が推奨されます。
治療法にはいくつかの選択肢があります。肩の炎症が強い場合は、痛み止めや湿布、ステロイド注射やヒアルロン酸注射が用いられます。また、ハイドロリリースという方法では、エコーで筋膜を確認しながら薬液を注入し、肩周りの筋肉の動きを改善することで痛みや可動域制限の軽減を目指します。痛みの改善だけでなく、運動療法と組み合わせて筋肉をつけ、正しい姿勢を保つことが重要です。
日常生活でも肩への負担を減らす工夫ができます。腕を下ろす「気をつけ」の姿勢は肩に大きな負担がかかるため、肘を少し曲げて脇を開く姿勢にすることが推奨されます。また、痛みが強いときは三角巾で腕を支えたり、椅子に座るときに腕をテーブルや肘掛に置く、就寝時は腕をクッションに乗せるなどの工夫も効果的です。
一方で、勢いをつけて肩を無理に動かす、患部が熱を持っている状態で温める、自己流ストレッチを行うことは避けるべきです。安全なストレッチとしては、「テーブルサンディング」があります。椅子に座って肘を伸ばし、手のひらをテーブルに置いて前傾する動作で、肩関節を無理なく動かせます。
宇南山先生は、「肩の痛みで悩む人は非常に多いです。放置して自然に治ることもありますが、痛みや可動域の改善には治療やリハビリを行うことが大切です」と強調します。症状が出ている場合は、一度整形外科で相談し、今できる治療を選ぶことが、将来の生活の質を守るポイントとなります。
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